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海賊???

2009年07月13日 18:11

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範囲制拡声機能により、今日もココの声が響くと、船内に緊張が走ります。

ココは良い気なもので、腰に両手をあてがい叫んでいるのですが

乗組員は、気が気ではありません。

私達、副官の中には戦闘に長けた者もおりますが

大抵の人は、ココと同じ船に乗ったがために

流れるままに戦闘に巻き込まれた方々なのです

まぁ、みんなもだいぶ慣れたとは思うのだけどね

でも、海賊行為は、普通の戦闘とは違います

うん、慣れている私も胃がきゅっと締め上げられます

罪悪行為ということを心しておけ!私は母からそれを教わりました。

人を脅し、傷つけ、時には殺め、金品を巻き上げる、だから、当然ですね

昔はイスパニアという国のため、お給金をもらっておりましたから

そういう行為も致し方がないと受け止めていました

今は・・・

あ、停まった!

ふぅ、良かった、停船してくれた

セイルを無理やり落とした船上で、

幾人もの方々が手旗信号で降伏の合図を送っている姿が、段々と大きくなります

ココの方針で、停止した船には攻撃を仕掛けないことになっているんです

こうなったら、手慣れたもの

前舷に接舷した、私たちの船との間にはあっという間に舫綱がかけられ

簡易な搭乗口が設けられます

「さぁ、臨検だ。行くよ、ショコラーデ」

その上をぴょんぴょん、飛び跳ねるように乗り込んでいくココ

もう、ココ、先に乗り込んでは危ないです!!!

何度も言っているのに!

何が危ないものか、彼らは降伏したのだよ。例えそれが、ポーズにしても、その事実は揺るがない

私に対する勝者には高圧的に、敗者には慈悲深く

何度も停船した獲物さんに逃げられているんですけどね・・・

狭い板の上で、一応私が先頭に立ち、先に乗り込みます

どうやら若い船長さんですね、甲板に這い蹲っています

「うん、キミ、面をあげなさい」

彼は、アウアウガチガチ、唇がもう真っ青です

「安心したまえ。キミの停船した勇気に免じて、命を奪う行為は行わない」

ここで、ようやく口が噛み合ったようです

「しかし、私の船には何も、金目の物が・・・、デュカート金貨だって幾許も・・・」

目が泳いでいます。

そりゃそうでしょうね、獲る者がないと機嫌を損ねる海賊さんもいらっしゃるかも。

そこのところが、ココはちょっと違うのよね

「うんうん、私も相手を見て襲っている。そうだな、台所を拝見させていただこう」

「だ、台所?」

「そうだ、厨房だ。
仲間たちのディナーに、もう1,2品付け加えさせてやりたいのでね」

「は、はぁぁ」

呆気に取られる船長さん。

まぁ、たまたま今日はお料理を頂いただけで

洋上販売を行っている方には、その販売物を

はたまた交易で大成功を収めた方には、売上の一部を頂くなど・・・

まぁ、私と家族は私掠海賊を営んでいましたから、

正直に言いますと海賊としては温いですね

次々に積み込まれる食材を満足そうに眺めるココ
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「では♪貴艦の航海の無事を祈ります」

そう言って、ニヤっと猫のように微笑むと

踵を返して、スキップの様な歩調で戻っていきます。

「あのー差し出がましいですが、この海域で巨大なガレー級の確認が取れております」

「・・・?」

「大物海賊さん達がいらっしゃるのかもしれません、お気を付けを!ということです」

「はっ!了解いたしました」

「それと・・・あのー、こんな海賊いませんので・・・」

「はっ、心得ております。貴方方のお気遣いには深く感謝を!」

「海賊に感謝の言葉をかけないでください」

私も苦笑いで、船に戻りました。

舫綱は解かれ、私たちは去りゆく商船を敬礼で見送ります

その船影が見えなくなったころに

「で、なんだって?」

ココが、いたずらし終わった子供にような顔で聞いてきます

「ありがとうですって」

「フフーフ、海賊にありがとうなど、とんだお人好しだ。無事に故郷に辿り着くといいな」

「ですね♪」

幸運を



そうそう、さっき言いかけていたこと

どんな海賊でも、海賊は海賊です。忌むべき存在です

けれども、ココのやっている海賊は

また、わかんなくなってきちゃう





そうそう、海賊をやる宣言は、日差しがとても強い日でした

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